ITSS相談センター
最近、少しづつではありますが、ITSSについての様々な資料が出てくるようになりました。 しかし、まだまだITSSを正確に理解できない、どのように導入すればよいかわからない、などの声が聞かれます。
株式会社イーネットでは、「Uメソッド」という方法に基づいてITSSのコンサルティングを多く手がけており、Uメソッドによる導入実績がございます。しかし、ITSSの導入方法は他にも幾つかありますし、あるいは企業担当者によって自社導入することも可能です。
このページ、「ITSS相談センター」 は、なるべく広く、様々な手法やメリットやデメリットなどを広くお伝えし、ITSS導入のために助けになる情報をご提供してゆく事ができればと考えております。
なお、このページはなるべく公平に (第三者的視点で) 記述する事を目標にしてはおりますが、株式会社イーネットは「Uメソッド」に関して最も詳しいため、他の手法よりも「有利に?」に記述してしまうかもしれませんが、そのあたりは読者側で差し引いて考えてください。 しかし、極力贔屓目にならないよう心がけます。
ITSS導入はまだ早いか
上記のご質問をよくいただきます。
結論ですが、企業によって異なるとは思いますが、可能であるならば早く導入した方が良いと言えるでしょう。
まだ、ITSSは発展途上であるから、時期尚早であるのではないかというご意見が聞かれますが、一理はあります。確かにITSSは、まだまだ発展途上であり、これからも改善されてゆきます。しかし、どんなにITSSの完成度が上がったとしても、即、社内で100%運用・活用できる とはなりません。やはり、社内で廻してゆくにも時間がかかるものです。ですから、今、導入しても、早すぎると言う事は無いと思っております。
早く導入したほうが良いと言いますと、 「まぁ、あなたがたは ITSSを導入する商売をしているんだから、ま、そう言って当然だよな」という反応が多いのですが、もちろん無理にはお勧めしているわけではありません。ここで、なるべく早くと述べている意味は、これ以上 ITSSが成熟するのを待つ必要は必ずしも無いという意味で述べております。当然、各社はそれぞれ環境が異なっておりますので、下記のいつ導入すべきかという論点は、各社の環境をどのように考えるべきかという意味に理解してください。
ITSSはいつ導入すべきか
さて、それでは本論に戻って、ITSSはいつ導入すべきかということを考えましょう。
ITSSで、何か実際的な価値が出てくるのは、導入したときではなく、導入後1~2年が経過してからです。ですから、ITSS導入直後に何かが激変すると言う事は、あまり期待なされない方が良いと思います。しかし、先行投資という意味合いも兼ね、企業体として人材育成を行ってゆくと言うスタンスであれば、ITSSの完成度(成熟度)も、それなりに良いものであると思いますので、あとは企業としてのタイミングと言う事になります。
(1) 社内において、すでに人材教育体制や、あるいは人事評定基準がしっかり整えられており、それが機能しているならば、是非、ITSSを導入し、ITSS対応の体制を整える事をお勧めいたします。この場合には、株式会社スキルスタンダード研究所の高橋秀典氏や株式会社ITアソシエイツ※の樽谷謙二氏などが推奨している、いわば 「高橋メソッド」 で導入されると良いでしょう。
※ 「株式会社ITアソシエイツ」は、2006年9月に業務を終了し「株式会社ラブロス」に業務移管したようです。
(2) 社内において、人材教育体制や、あるいは人事評定基準が比較的最近に策定され、まだ安定していない間は、以下の2パターンが考えられます。
まず、なぜ安定しないかの原因なのですが、単に導入した時期が浅く時間の問題であるという場合には、少し待ったほうが良いでしょう。短期間で、内容がコロコロ変わりますと、エンジニアも混乱するでしょう。
しかし時間の問題ではなく、社内の体制自体に抜けや不備が多いと言う場合には、ITSSを絡めて体制を構築しなおされる事をお勧めしたいと思います。
(3) 社内に、しっかりした人材教育体制や人事評定基準がない場合で構築することを検討しておられるようでしたら、ITSSを利用した導入を行う事をお勧めいたします。このときは、「高橋メソッド」 でも、株式会社ネクストエデュケーションシンクや株式会社イーネットなどで実施している 「Uメソッド」 でも良いと思います。
(4) 特に社内に人材教育体制や人事評定基準がない場合で、ITSSの必要性も感じない場合、急ぐ必要はありません。しかし予算あるいは時間的に余裕がある場合には、ITSS導入のメリットを考え先行投資の意味も兼ねて導入されても損は無いでしょう。
導入期間としては、エンジニアの人数によっても変わりますが、約半年を見ていれば良いでしょう。そして、最も忙しくなるのが、各エンジニアのアセスメント作業の時期になります。また、企業の一つの指標としてITSSの結果を数値化して使用することを考えると、決算期をまたがない方が良いでしょう。それで、企業の忙しさや、期末などを考え、逆算して導入のスタート時期を決められるようにお勧めいたします。