ITSS Q&A
質問 : ITSSって一言で言って何ですか?
答え : ITSSは、ITスキルスタンダードの略で、経済産業省が定めた指標です。IT系のサービスを11の職種、35の専門分野に分類し、それぞれを7レベルによって表す指標です。
質問 : ITSSは、どんな役に立つのでしょうか?
答え : ITSSには様々な用途がありますが、大きく分けて以下の3つあります。 (1)人材の育成の指標として (2)会社戦略の資料として (3)調達(派遣)や処遇のための資料として などの使い方ができます。
質問 : IT系の企業は、ITSSを導入した方が良いのでしょうか?
答え : それは一概には言えません。なぜなら、当然ITSSの導入にも費用がかかるからです。しかし、最近では官公庁案件、及び大企業からの案件などは、アサイン(仕事割当)されるエンジニアのITSSレベルも明示するようにとの動きがあります。この流れは今後、主流になってゆきます。ですから、他社からの請負やエンジニアの派遣など、他社とのつながりがある企業は導入した方が良いと言えるでしょう。 しかし、逆に自社内でパッケージを作成し、量産して販売するなど、エンジニアに他社との関連があまり無い場合には、あせって導入する必要は必ずしもありません。
また、ITSSの導入によって、人材育成を行ったり、企業の戦略を立てる事などができます。ですから、そのような用途で使いたい場合には是非とも導入すべきでしょう。
質問 : ITSS導入のタイミングは、何時がよいでしょうか?
答え : 行うなら早い方が良いです。なぜなら、ITSS導入直後のレベルの信頼性は薄く、正確にレベルが確定してくるのは一年後くらいだからです。(もちろん、レベルはすぐに算定されますが、各社毎の環境の違いなどにより誤差が生じる可能性があります。その補正に時間がかかるので、直後は信頼性が薄いのです)
質問 : 経済産業省から発表されているITSSを、そのままあてはめれば良いですか?
答え : できるのであれば、良いです。しかし、はっきり言って無理です。会社はどの会社も多少なりとも違いがあります。ですから、そのまま当てはめようとするのは無理があります。自社内で当てはめる事ができるような修正(カスタマイズ:作り込み)が必要になります。
質問 : カスタマイズ(作り込み)は自由に行ってよいのでしょうか?
答え : 原則を逸脱しなければ良いですが、あまりにも変更してしまうと『カスタマイズ(作り込み)』と言うよりも『別物(作り変え)』になってしまっています。現に、カスタマイズの し過ぎで、ITSSと称するものの、調達(派遣)では使用できず、困っている企業も出ています。ですから、カスタマイズに関しては、コンサルタントに相談をしながら行ってゆく事が必要でしょう。
質問 : 実際、ITSSは派遣の際の一つの指標として使えるのでしょうか?
答え : 使えます。と言いますか、人材調達(派遣)で使うという目的で導入した企業のITSSは使えます。しかし、企業によってはITSSと称しているものの、実際には社内だけの基準を独自に作ってしまい、社内の人材育成や戦略策定のためだけに使っている会社もあります。そのような企業のITSSレベルは、調達(派遣)の指標としては使えません。ですから、ITSS準拠と言っても、本来のITSSのレベルと同期をとっているのか、社内独自のITSSなのかを確認する必要があります。本来のITSSレベルと同期を取っているならば、調達(派遣)の指標として使用できます。
質問 : ITSSを導入すると、どんなメリットがありますか?
答え : 一番大きなメリットは、いち早くITSSを導入する事によって、社内のレベル管理を明確にしている事が他社から見て解ることです。ですから、会社としての信頼に繋がります。例えて言うならば、会社の規模や信頼性などが、ある程度その会社のホームページ見て判断されるのと同じように、IT系企業は今後、ITSS導入済みか否かによって、ある程度の信頼が判断材料にされるようになるでしょう。
質問 : ITSSを導入すると受注は増えますか?
答え : 特に増えません。というのが私の答えです。しかし、過去、コンサルティングを行った企業を見てみますと、受注が増えたと言うよりも、利益率が上がったケースが出てきています。コンサルタントゆえの守秘義務があるのでここに詳述はできませんが、ITSSを上手に活用して現に利益を向上させています。ですから、使い方によっては導入費用以上の効果を見込めます。どのような使い方によって効果が出せるのかに関しては、別途相談してください。
質問 : ITSSを自社で勝手に導入してよいですか?
答え : 良いですが、導入担当者は相当の勉強が必要です。特にカスタマイズをどのように行うかが問題になります。(変えてはいけない部分を変えてしまう、または変えてよい部分にこだわり制度が動かなくなってしまう)多く見られるケースとしては、企業の導入担当者が、「自社のエンジニアのITSSレベルが上がる」ようなカスタマイズをしてしまい、本来のITSSではなくなってしまうということが生じがちです。なぜなら、ITSSレベルが高いほうが単価が高く取れるからです。しかし、そのような導入をしますと、調達(派遣)時に問題になります。その会社のITSSレベルのエンジニアが派遣先では実際にそのレベルに到達していない事が後で発覚しますと、その企業全体の信頼がなくなるからです。
質問 : ITSSの導入を依頼すると、費用は幾らくらいかかりますか?
答え : 自社で勉強して導入すれば、自社内の人件費だけです。外部のコンサルタントに依頼するならば、企業の規模やエンジニアの人数によって変わりますが、それなりの費用がかかります。目安としては20~100名程度のエンジニアを抱える企業ではおおよそ100万円から500万円※1で導入できるでしょう。20名以下の場合には、よりリーズナブルでお手軽にITSSを導入できる制度を株式会社イーネットでは構築中です。また、100名以上の場合には、幾つかの選択肢がありますが、最もお勧めしたいのは、自社内にITSS担当者を任命し、その担当者を中心に自社運用体制を作り上げる事です。その方法ですと、ほぼ上記金額前後で収まります。
※1 あくまでもこれは金額の目安です。